[レポート]ココカラファインの挑戦!クラウドで実現する店舗プラットフォーム #AWSSummit
セッション概要
2016/06/01(水) ~ 06/03(金)に開催された AWS Summit Tokyo 2016 の General Confrence 6/2 13:20 ~ 14:00 のセッション「ココカラファインの挑戦!クラウドで実現する店舗プラットフォーム」を聴講しました。株式会社ココカラファイン様は弊社でもECサイトや社内システムのAWS移行をお手伝いさせて頂いており、どのような社内改革が行われたかとても興味があったので聴講させて頂きました。本記事はそのレポートです。
ココカラファイン ECサイトおよび社内システムのAWS移行 | クラスメソッド株式会社
セッション紹介文
「ココカラファインでは、新たなプラットフォームに店舗システム業務を集約し、管理業務の効率化と付加価値業務時間の創造を実現するため店舗改革に取り組んでいます。 従来のオンプレミス構成では検討に時間を要していた在庫のリアルタイム化などの構成を AWS で実現することを決断しました。 今回、AWS を採用するに至った経緯や背景、導入にあたっての工夫や苦労した点等ココカラファインが学んだことをご紹介します。」
セッションスピーカー
- 尾池 泰之様(株式会社ココカラファイン 上席執行役員 経営戦略本部 企業品質部長 兼 IT開発チームマネジャー)
- 黒木 克明様(株式会社ココカラファイン 経営戦略本部 企業品質部 IT開発チーム 新店舗システムプロジェクトリーダー)
ココカラファイン
「ココロ・カラダ、ゲンキ。」を提供するヘルスケア企業。
全国にドラッグストア事業、調剤事業、介護事業を展開。2013年4月に子会社のセイジョー、セガミメディクス、ジップドラッグ、ライフォート、スズラン薬局、メディカルインデックスの6つの販社を統合。その統合から始まる社内改善に関するセッション。
店舗システムの刷新
6つの販社統合によって生まれた課題
- 統合に寄って集まった各会社のシステムをなんとか統合したい。
- 様々なシステムが現在も各店舗で併存している。その数を減らしていきたい。
- ハンディターミナル一つとっても作業動線が複雑で、本来の顧客対応に割く時間が減らされている。
店舗のシステム:たくさんある → 減らしたい
- POS、発注システム、棚卸しシステム、決済端末、クーポンシステム、シフト作成勤怠、教育・マニュアル、ストコン、会員システム、営業実績、グループウェア
会社も落ち着いてきたので、まずは店舗のプラットフォームを改善していこう。散らばったシステムを集約し、一つのプラットフォームに統合。
いつそのシステムが必要?「今すぐ欲しい」
2015年末からベンダー選定を開始。システムリリース(2016年6月1日(水))(セッション前日!)まで1年も無かった。お客様向けのスマホアプリも昨日リリース!
ココカラ公式:もっと楽しく、もっと便利に。いつでも・どこでも・どなたでもココカラファイン。ココロ・カラダ・ゲンキ on the App Store
ココカラ公式:もっと楽しく、便利に。ココロ・カラダ・ゲンキ - Google Play の Android アプリ
プラットフォームにどこを選ぶか?AWS? >>> 不安?
ココカラファインとAWS
ココカラファインとAWSの歴史。
- 2014年~2015年:ワークフローシステムリプレイス
- 2014年~2015年:オンラインショップその他リプレイス
- 2015年~2016年:店舗プラットフォーム構築 ← 今ココ
- 2015年~2016年:お客様向けコミュニケーションプラットフォーム構築
- 2015年~2016年:人事・給与システムリプレイス
最初のAWSは単純なサーバーリプレースから。
- 社内システムのサーバー保守期間満了に伴いリプレイス
- パッケージ元指定の危機がオーバースペック。クラウド検討開始
- パッケージ元にクラウド見積り依頼。変わらない価格、低い柔軟性
- 自社でAWS見積もり取得。構築はパートナーベンダー
初のAWSによる基幹系構築
- サイジング:とりあえず構築。あとで調整
- 構築期間:1ヶ月(オンプレ時代は3ヶ月以上)
- 社内AWS運用:AWSの勉強は必要
- コスト:初期投資は抑えられる。稼働後にもコスト評価で方向性調整可能
※経営の意思決定が(オンプレミスの)サーバーのライフサイクルに依存する形ではなく、柔軟に行えるようになったのが大きなメリット。
※自社の技術者もAWSのトレーニングを受けている最中。それによりパートナーと対等に会話ができるようになる。
ここまでは尾池様。次から黒木様
AWSで構築する「店舗プラットフォーム」
黒木様は昨日カットオーバー、メールでトラブル連絡も有ったとのこと。その緊張と発表の緊張(会場笑いで和む)
店舗プラットフォームでのAWS採用の流れ
- 2015年10月:着手。東京リージョンにAurora。即決
- 2015年11月:店舗Wi-Fi展開
- 以前はデバイスをクレードルに刺して使用といったレガシーな状況
- 2016年02月:端末展開
- 2016年06月01日:カットオーバー
カットオーバーまでのサイジング
- 開発開始時:多めにサイジング
- 設計時:少し少なくしてもよいかな?
- テスト時:結構少なくてもイケる?
- リリース時:念のため多めにしておこう
- 現在:テスト時の適切なサイジングに調整
AWS環境構成コメント(構成図はありません)
- 店舗から店舗サーバーにはインターネット経由でAWSに接続
- 管理系システムにはDX(Direct Connect)経由で接続
- その部分の開発が一番時間がかかった(物理デバイスの構築もあるため)
- AWSサービスの積極的な利用:EC2とRDSが中心だが、他のAWSサービスも積極的に利用
分散処理を用いたリアルタイム在庫表示
店舗POS → Kinesis → EMR(Spark) → Aurora → スマホ端末
POSから1時間で在庫データを収集。準リアルタイムデータ処理。今後はレジでの会計単位で分析できるようにしたい(バックエンドは少し未来に行ってる状態)
分散処理基盤の監視
各種データをリアルタイムに連携し、Zabbixによる統合監視を実現
- Zabbix、CloudWatch、Fluentd、EMR
JenkinsによるEMRの自動構築/破棄
これから
- お客様向けプラットフォームの構築
- 店舗のプラットフォームのさらなる改善
- お客様向けと店舗向けプラットフォームの相互接続性の改善
スマホは当面は会員カード機能だけだが、今後もワクワクするような機能を追加していきます。
最後に
事例系セッションを見て楽しもうと望んだAWS Summitだったので、最初に拝見したこのセッションは結構面白かったです。1年以内という移行スピードと基幹アプリと顧客向けスマホアプリを一新し、さらにそれらが連携してよりよいサービスを提供していこうとされている姿は、特に小売系の方には強く印象に残ったセッションではないかと思いました。
おまけ
セッションのスライドによく出てきたキャラクターは「ココシエル」さん(アラサー女子)らしいです。